②三振を取れる投手は良い投手なのか
前回の続きです。
前回は2016年のセリーグのデータを使って三振が取れる投手が点を取られにくいということを見ていきましたが、それは「2016年」の「セリーグ」という風に条件が付いています
もしかしたら「2010年」のデータや「パリーグ」のデータを使って推測すると違った結果になってしまうかもしれません。
もし前回の結果が間違っていたら大変です。今回は「パリーグ」のデータも使うことでリーグ全体での推測をしてみましょう。
2層に分けたオッズ比による分析
今回もデータはプロ野球データFreak(http://baseball-data.com/stats/pitcher-pa/)を使わせていただきます。
前回と同じようにまとめたものを「セリーグ」「パリーグ」「プロ野球」で分けて考えてみます。
要約した2×2表を見てみるとパリーグではセリーグよりも防御率が低くて奪三振率が低い選手の割合が高いように見えます。
しかし、この数字だけではどのくらい関係しているのかわかりにくいのでオッズ比を使って考えてみましょう。今回はオッズ比の信頼区間まで出していきます。(オッズ比や信頼区間についてはまた今度書きます。)
オッズ比(Φ)の95%信頼区間はそれぞれ
(プロ野球) 1.73<Φ<1.87
(セリーグ) 2.00<Φ<2.60
(パリーグ) 1.17<Φ<1.69
と推定することができました。
プロ野球全体のオッズ比と比べてセリーグのオッズ比とパリーグのオッズ比は明らかに違うと考えられそうです。
オッズ比は関係性の指標でしたから、リーグ毎に防御率と奪三振率の関係性が変わってしまうということが言えそうです。統計的に言えば、「リーグ」は防御率と奪三振率の交絡因子であるということです。
リーグ毎に関係性が変わってしまうのは問題ですが、オッズ比はすべて1以上になっています。なので、「リーグに関わらず」三振がたくさん取れる投手は取れない投手に比べて防御率は低くなりやすいといえます。
これよりプロ野球選手になりたい人はある意味で三振を取れる投手になるのが良いと言えるのではないでしょうか。
2016年でたまたまそうなっただけなのかもしれません。ヤクルトの石川選手のように三振をあまり奪わないで抑えている投手がいるのは事実ですが、則本選手や大谷選手、ダルビッシュ選手のように三振をたくさん奪えるというのは失点を抑えるという意味でも重要だと思いませんか?
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間違いや質問etcがあったら教えてください。よろしくお願いします。
Twitter:@KeisukeHanada